「さすけ、どうして よるがくるの?」
「月が太陽を追いかけているからだよ」
「じゃあどうして あさがくるの?」
「太陽も月を追いかけているからだよ」
「どうして つきは たいようをおいかけるの?」
「月は太陽が好きだからね」
「たいようも つきがすきで おいかけるの?」
「そうだよ」
「へんなの、おいかけるのをやめて、むかいあえばいいのにね」
「そうだね」
「・・・ねぇさすけ、さすけが わたしを まもるのはどうして?」
「佐助もお姫さんが好きだからですよ」
「でも、わたしも さすけが すきだよ」
「・・・・・・・」
「だったら、わたしもいつか さすけとおいかけっこを しなければいけないのかな」




「・・・そうかもしれませんね」
「へんなの、ちゃんとてをつないでいるから、おいかけなくてもいいのにね」
「そうだね、でもその時はお姫さんが俺を追いかけるのをやめればいいんだよ」
「どうして?」
「俺がちゃんとお姫さんを追いかけますから」
「・・・てをつなげばいいのに」
「でも、ずっと手を繋いでいたら御飯も食べられないでしょう?」
「・・・・・・」
「だからお姫さんは、心配せずに前に向かって歩けばいいんです」
「ふりかえっちゃダメなの?」
「ダメです」
「どうして?」
「俺がお姫さんを追い抜かしてしまうからです」
「そうしたらわたしがさすけをおいかけるわ」
「でも、お姫さんは月や太陽のようにずっと追いかけっこをしたくないでしょう?」
「ううん、さすけとならいいよ」
「・・・・・・本当に、お姫さんにはかなわないなぁ、」




「あ、さすけ!おやかたさまが よんでる!はしろうよ」
「はーい、じゃあ競争しましょうか」
「わたしはまけないよ!」
「ハイハイ」

「(・・・でもやっぱり俺は、お姫さんの後ろを追いかける方がいいな)」
「ほらさすけ、やっぱりわたしの かち!」
「(その笑顔は眩しすぎて、俺にはちょっと痛い)」
「どうしたのさすけ、はやくきて!」



(だからアンタはそんな風に、振り返って俺に手を差し伸べたりなんかしちゃダメなんだよ)



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